The Secret Language of Eating Disorders 〜あなたの大切な人が拒食症になったら

拒食症

2007年02月10日Posted in 2007年02月 by hayamataro

最近、ユミの様子がおかしい
ここ2〜3ヶ月の間に急に痩せたし
食欲が無いと言って食事をほどんと食べない
気持ちがもやもやすると言う

ユミとじっくり話してみた
普段はほとんど不平不満を言わない子だったが
このときはユミの口から泣き声と共に溢れ出た

過去に私に叱られたこと
転校して友達と離れて悲しかったこと
転校先の学校での嫌だった経験
そんなに昔のことまで・・・と驚くようなことまでも

そしてさらに
意味もなく痩せたいと思う
鏡を見ても、自分はまだまだ痩せているように見えない
食べるな、食べたらとにかく運動しろと思ってしまう
食べた後すごく嫌な気持ちになる
と打ち明けた


愕然とした
それは“拒食症”の典型的な兆候だった

緩慢な自殺

2007年02月12日Posted in 2007年02月 by hayamataro

怖い
拒食症について調べれば調べるほど恐怖が増す

“拒食症は命に関わる病気”
“拒食症の死亡率は高い”
“拒食症とは、緩慢な自殺である”

緩慢な自殺?
ユミが自殺などするわけがない
ユミを失うかもしれない

何がどうなったのか、どうすれば良いのか
まったくわからない

ユミは別に太ってなどいなかった
だからダイエットなどしたこともない

本人に聞いても
痩せたいとも、きれいになりたいとも思ったことはない
なぜ痩せたいのかまったくわからないと言う

では、なぜ?

拒食症は心の病気だ
一体何がユミの心を蝕んでいるのか

責任

2007年02月18日Posted in 2007年02月 by hayamataro

どう考えても
すべては父親である私の責任だ

きっとユミは今まで私に叱られたことを、すべて覚えているのだ
ほんの些細なことまでも
去年ユミが転校することになったのも、私の転職のせいだ
環境が急変するのは、大きなストレスだったろう

すべて私の責任だ
ユミに何と詫びれば良いのか
ユミの苦しみを、代わりに私が負いたい

私はユミが生まれてからの9年間、一体何をしていたのだろう
ユミへの愛情については絶対的な自信があった
ユミのためなら死ねるとさえ思っていた
その愛情さえあれば、絶対に間違いはないと信じていた
しかしそれはただの勘違いだった


電車に乗るのが怖い
みんなが私を責めている
会社に行けなくなるかもしれない
頭がおかしくなったのかもしれない

瞳の輝き

2007年02月20日Posted in 2007年02月 by hayamataro

ユミは9歳、小学校4年生である
身長は125cm、体重は22kg

この年齢の女子の平均値は
身長135cm、体重30kg前後
今、ユミはクラスでいちばん小さい

しかし女子の身長別標準体重表によると
ユミの身長での標準体重は23.2kg
ユミの現在の体重は、数値的にはあまり危険ではない
でも見た目はまったく違うのだ

手足はとても細く、あばら骨は浮き出て
まるで飢餓状態にある難民の子供のようである

血行不良のため手足はいつも冷たく
脂肪の無くなった体の体温を維持するために
体毛が濃くなってきている

今のユミの体は見るに耐えない
かわいそうで涙が止まらない


ユミは以前のような笑顔を見せなくなった
瞳の輝きも消えてしまった

病的な行動

2007年02月21日Posted in 2007年02月 by hayamataro

ユミの病的な行動を整理してみよう

・家にいてもずっと立ち続けている
・寝る前にストレッチだと言って、体操を1時間もする
・自分の体重を事細かにチェックする
・何かと理由をつけて外に散歩に出かける
・自分以外の者にはとにかく食べることを勧める
・以前は見なかった料理本を良く見る
・菓子類はまったく食べない
・外食を異様に嫌う

とにかく食事をさせなければ
今がいちばん成長しなければいけない時期なのだから

的外れ

2007年02月22日Posted in 2007年02月 by hayamataro

ユミの小学校の担当医であるM先生のクリニックへ行った
小児科として開業しているが、
児童の精神科診療もしている先生だった

M先生は我々から一通り話を聞くと、ユミに話し始めた

現代は痩せていることが美しいとされているが
いつの時代もそうだったわけではなく
例えば中世の時代では
モナリザのようにふっくらした女性が美しいとされていた

要するに、美しさの基準は時代と共に変化するのだから
それに囚われてはいけないという内容の話だった

的外れだ
ユミはきれいになりたいと思ったことは一度もないのだ

駄目だ
M先生にユミは治せない
もっと頼れる医者を探さなければ

光と影

2007年02月25日Posted in 2007年02月 by hayamataro

ユミは双子である

もう一人のユカは、心身ともにまったく健全に発育している
ユカは、やせ細ったユミより体が一回り大きく
女性らしい体型になりつつある
性格も子供らしく自由奔放で
クラスに好きな男の子がいると明るく話す

M先生は、双子なのになぜこうまで性格が異なるのかと首をひねった
育て方や環境に差はなかったのかと聞かれたが
二人は生まれたときから性格は異なっていたし
これまで公平さを最も大切にして育ててきたつもりだ

健康的なユカの存在は、ユミの悲哀をいっそう際立たせる

ユカとユミは、まるで光と影のようだ

直感

2007年02月28日Posted in 2007年02月 by hayamataro

精神科医I先生のブログを見つけた
I先生は摂食障害について独自の理論を持ち
それを実践し、多くの功績を残しているという

私はその理論に共感を覚えた
ユミのことを最も良く知る者としての
それはもう直感のようなものだった


これまでに、拒食症にはいろいろな療法があることを知った
認知行動療法や集団療法などの心理療法、薬物療法、催眠療法など
しかしどれもぴんと来なかった

I先生のブログを何度も何度も読んだ
もうこれしかないと思った

その中で、I先生が薦める一冊の本の存在を知った
I先生の治療法の基盤となった本である
なんとしてもこの本を読まなければならない

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