The Secret Language of Eating Disorders 〜あなたの大切な人が拒食症になったら

夏休み

2007年07月20日Posted in 2007年07月 by hayamataro

夏休みが始まった

でもユミはしばらく前から
もう学校へ行っていない

学校へ行きたくないと言うから
試しに何日か休ませてみたのだ
そのある日の夜
私が帰宅すると妻が嬉しそうに言った

「今日はユミちゃん、お昼寝したんだよ!」

座ることすら躊躇していたユミが
ベッドで横になって昼寝をするなんて初めてのことだった

他にも
長い間イスに座って勉強していたりと
良い兆候があったのでそのまま休ませていた

それでもやはり毎日の散歩は欠かせない
学校が無い代わりに
午前と午後の2回の散歩だ

損害回避と固執

2007年07月22日Posted in 2007年07月 by hayamataro

これまで
Peggyの他にも様々な本を
藁にもすがる思いで読んできた

 やせ願望の精神病理
 (水島広子 著)

水島氏はまず
病型を特定せよと言う


制限型
現在の神経性無食欲症のエピソード期間中、その人は規則的に無茶喰い、または排出行動(つまり、自己誘発性嘔吐または下剤、利尿剤、または浣腸の誤った使用)を行ったことがない。

無茶喰い/排出型
現在の神経性無食欲症のエピソード期間中、その人は規則的に無茶喰い、または排出行動(つまり、自己誘発性嘔吐または下剤、利尿剤、または浣腸の誤った使用)を行ったことがある。

/(水島氏の本より抜粋)

ユミは食べることをただ恐れている
無茶喰いなどはしたことがないし
これからもしないだろう
制限型だ

水島氏はさらに
米国の精神科医クロニンジャーが考え出した“七因子モデル”を掲げる


クロニンジャーのモデルでは、人間の「性格」を七因子から成り立つものとして考えます。つまり、人間の「性格」を七つの軸で切って表そうとしたものです。

七因子は、遺伝的な影響を強く受ける四つの因子(「新奇性追求」「損害回避」「報酬依存」「固執」)と、環境的な影響を強く受ける三つの因子(「自己志向」「協調」「自己超越」)に分けられています。

/(水島氏の本より抜粋)

この中で「損害回避」と「固執」を持つことが
制限型に見られる共通の特徴であると言う

ユミはまさにそうだった

ハンスト

2007年07月23日Posted in 2007年07月 by hayamataro

水島氏の本の一節が妙に気になった

“ハンストとしての拒食症”

ハンスト?
ユミ、これはハンストなの?



さて、これらの「性格」がどういうふうに「拒食症」につながっていくのでしょうか。
「拒食症」の人たちを見ると、本当は自己がしっかりしていて好き嫌いも激しいのに、ほとんど自己主張できずに暮らしていることが多いものです。唯一の自己主張が「拒食症でいること」だとも言えるくらいです。本当は頑固で自分のやり方が確立している(固執)のに、さまざまな事情や周囲の人の思惑に気を遣ってしまい(損害回避)、思い通りにできていないのです。これはかなり息苦しいストレスです。

「拒食症」でいることは、そういう自分の危機をアピールするための、無意識のハンストのようなものだとも言えます。

最初は、たまたま食欲がない、体調が悪い、というようなところから節食が始まることが多く、「ハンストしてやろう」と意識して始める人はまずいません。そんな攻撃心をあからさまに持てるのであれば、拒食症になどならないでしょう。

/(水島氏の本より抜粋)

ハンストであるなら
何か要求があるはずだ

答え

2007年07月25日Posted in 2007年07月 by hayamataro

答えは目の前にあったのだ


ハンストであるなら
何か要求があるはずだ
ユミの要求は何だろう
答えはすぐに思い浮かんだ


「帰りたい」


要求を飲もう
だからもう
ハンストはやめて

「帰ろう」とユミに言った
もとの家に、もとの学校に帰ろう
全部もとに戻そう

ユミははじめ戸惑っていたようだったが
「ちょっと長い夏休みだったと思えばいいんだよ」と言ったら
ユミは泣きながらうなづいた

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