The Secret Language of Eating Disorders 〜あなたの大切な人が拒食症になったら

試練

2007年04月02日Posted in 2007年04月 by hayamataro

拒食症を克服した人の投稿を見つけた


「神様は乗り越えることのできる人だけに試練を与える」と誰かが言っていたので、それをメモ帳に記して、辛いときはよく見ていた。とても不安で辛い時期ですが、人生において決して無駄な時間ではなかったと思います。


“神様は乗り越えることのできる人だけに試練を与える”

ありがたい
宝石のような言葉だ

反撃

2007年04月03日Posted in 2007年04月 by hayamataro

ユミの言動に変化があった

以前は
「食べるな、痩せろ、運動しろって思っちゃう」
と訴えていたのが
「食べるな、痩せろ、運動しろって言ってくる」
と、三人称で表現するようになってきたのだ

病気の心をユミから切り離した

反撃を開始するときが来た

病気の心がユミを
「食べるな、痩せろ、運動しろ」
と洗脳しようとするのなら、私は
「食べてもいい、痩せなくてもいい、運動しなくてもいい」
と言い聞かせる

泣いているユミを抱きかかえて
耳元で何度も何度も囁く
洗脳合戦だ

病気の心の言葉を中和するのだ
これはPeggyが教えてくれた戦法だ

病気の心がユミを否定するのなら
私はユミを肯定する
ユミの存在を、無条件、無制限の愛情をもって肯定し続ける

武器

2007年04月04日Posted in 2007年04月 by hayamataro

ユミとユカに携帯電話を買った

私がそばにいられないときでも
ユミにポジティブな励ましを送り続けるためだ

ユミとユカはすぐに使いこなし
私にメールを送ってきた

強力な武器だ

自信

2007年04月05日Posted in 2007年04月 by hayamataro

ユミはスイミングスクールに通っている
本当は運動をさせたくないのだが
ユミが大好きなスイミングをやめさせるのは
逆効果のように思えたので続けさせている

今日は進級テストだったらしい

「進級できなくて当たり前」
「進級にこだわらないで、楽しく泳いでおいで」

何度も言い聞かせた
進級できなかったときの落胆が怖かった


ユミからメールが来た
無事、進級できたらしい
とても喜んでいた

「パパの言う通り、受からなきゃって思わないで泳いだの」

少しだけ
ユミの自信が回復したのかもしれない

勢力争い

2007年04月06日Posted in 2007年04月 by hayamataro

ユミの心には
本当の心と病気の心が存在している
この二つの心が勢力争いを繰り広げているのだ

ユミが「嫌な気持ちがする」と言って泣くときは
病気の心の力が強くなっていて、本当の心を圧倒している

病気の心の要求は絶対に聞き入れてはならない
それが餌となり、ますます勢力を増すからだ

逆に、ユミの本当の心の要求は聞き入れ
できるだけ栄養を与えてやるべきだ

しかし、病気の心は狡猾だ

ユミは以前、家族がまだ寝ている早朝に
一人でこっそり海岸に散歩に行った事が有ると告白した
驚いた

普段も頻繁に散歩に行きたいと訴えるが
体重の回復が最優先なので、散歩は駄目だと言うと

「ユミの本当の心がお散歩に行きたいの。海は楽しいから」
「お散歩に行けると思って頑張ってご飯食べたのに」

と言って、とても辛そうに泣く

確かにユミは昔から散歩が好きだった
病気の心はそこに付け込んで運動させようとするのだ
ユミの散歩という行動には
本当の心の要求と、病気の心の要求が同居しているのだ

I先生からいただいたアドバイスは、以下のようなものだった

「病気なのだから、やっぱり運動はなるべくしてはいけないよ
 風邪をひいたときだってそうだよね
 でもユミは頑張っていて、
 散歩で気が晴れてまた頑張れるのであれば、
 2?3日に1回でゆっくり歩くならいいってことにしよう」


ユミは一応は理解を示してくれた

運動を全面的に禁止しようとするよりも
ある程度の運動でストレスを解消させた方が
結果的には良いのかもしれない

終点

2007年04月09日Posted in 2007年04月 by hayamataro

「食べるな、痩せろ、運動しろって言ってくる」
「食べてもいい、痩せなくてもいい、運動しなくてもいいんだよ
 ユミは本当は素晴らしい子なんだよ
 ユミには幸せになる権利があるんだよ」

洗脳合戦が続く

あれから2週間
1日3食療法は軌道に乗ってきたような気がする
体重の減少はどうにか止まったようだ

今のところ順調だ
1日3食はまだ一度も挫折していない
ユミは本当に良く頑張ってくれている


“永遠に止まらないジェットコースターに乗っているような気分”

Peggyは娘の拒食症と戦っているときの心境を
このように言っていた

まだまだ遠いかもしれないが、必ず終点はある
そして、着実に近づいていると信じよう

温床

2007年04月10日Posted in 2007年04月 by hayamataro

摂食障害の患者の心の中には
病気の心が育つ温床がある
病気の心を完全に撲滅するためには
この温床を取り除かなければならない

体重が回復すると、病気の心は一旦は治まるが
温床が取り除かれていないと、再発する可能性が高い
しかし現在でも多くの医者が
体重の回復だけをゴールとした誤った治療法をとっている

Peggyによれば
病気の心の温床は、CNC傾向によって生み出される自己否定感である
何でも悲観的に受け止めてしまうCNCの傾向を修正することが
治療の本質である

I先生は、病気の心の温床についてもっとわかりやすく説明している


ついつい周りの人たちと比較してしまう心
誰にも愛されていないと思う心
自分なんて生きている価値もないと思ってしまう心
などです。
このパーソナリティの問題に基づく心こそ、
最も治さなければいけないものです。

/(I先生のブログより抜粋)

この温床を取り除くアプローチは
体重が完全に回復する前に開始するべきだとI先生は言う
なぜなら、体重が回復すると一応は苦しみから解放されるため
患者本人が心の問題に向き合おうとしなくなるからだ

必然

2007年04月11日Posted in 2007年04月 by hayamataro


ついつい周りの人たちと比較してしまう心
誰にも愛されていないと思う心
自分なんて生きている価値もないと思ってしまう心
などです。
このパーソナリティの問題に基づく心こそ、
最も治さなければいけないものです。
もし、この心が改善されれば、
病気が治るだけでなく、
二度とこのような病気になることもなく、
この病気をきっかけとして、
病気になる以前よりもずっと幸せな人生を
送ることができるようになります。

/(I先生のブログより抜粋)


“病気になる以前よりもずっと幸せな人生を送ることができるようになる”


ユミにとってこの試練は偶然ではなく、必然だったのかもしれない
ユミがもっと幸せになるために

同志

2007年04月12日Posted in 2007年04月 by hayamataro

I先生とC先生が、私のことを「同志」と呼んでくれた

“同志”

今の私にこれほど力を与えてくれる言葉が他にあるだろうか
本当にありがとうございます


I先生は
医療という枠を超えて、いつかは学校で子供を教えたいと言っていた
精神科医は病気の人を診るという意味で事後処理的な仕事だが
いつかは、病気を予防をしたい
全ての人のなかには、輝けるダイヤモンドの心があって
それを輝かせて生きれば皆幸せになれることを伝えたい
それが自分のライフワークだと

このような素晴らしい方に出会えたことを
心から嬉しく思う

そしていつか私もその手助けが出来たらと思う
同志として

魂の成長

2007年04月13日Posted in 2007年04月 by hayamataro

“病気になる以前よりもずっと幸せな人生を送ることができるようになる”

この考え方は私にとって大きな前向きの力になっている

そのことを話すと、C先生の言葉が胸に突き刺さった

「人は色々な環境を選んで何度も生まれ変わり、
 魂の傾向性を修正しながら学びを深め、
 限りなく良きものへと成長していく。
 一見、ユミさんのためにあなたが頑張っているように見えるが、
 実は、あなたの魂の成長のためにユミさんが辛い役割を引き受けてくれている
 という可能性も多いにある。」

確かに私は、自分自身の成長を強く望んでいた
どうしたら良いかわからなかった
でも、私のためにユミがこんな目に会うなんて耐えられない
認めたくない

しかし


この試練に何か意味があるのだとしたら
ユミといっしょに私自身も幸せになるんだと思おう
そう思うと
ユミとの信頼がより深まったような気がした

ユミの机の上に
「早く元気になるぞ!」と書かれたメモがあった
嬉しくて嬉しくて、涙が止まらなかった

I先生がメールをくれた

「その今の思いを持続し続けられるかどうか、
 試されるのはもしかするとそれだけかもしれませんね」

笑顔

2007年04月14日Posted in 2007年04月 by hayamataro

仕事から帰ると、ユミが抱きついて来た
笑顔がいつもよりも明るい

「ねえパパ、元気になったらスイミングスクールに週2回行っていい?
 21級になると、次は選手育成コースに入れるんだって
 ユミは水泳の選手になりたいの
 夏にディズニーシーに行くまでには元気になれるよね?」

と明るく言った

以前、M先生が
学校の友人や先生の、ほんの些細な一言で驚くほど良くなることがある
と言っていたのを思い出した

何があったのかはわからないが、本当に嬉しかった

ユミの笑顔は私にとって最高のエネルギーだ

給食

2007年04月15日Posted in 2007年04月 by hayamataro

ユミの春休みが終わり、学校給食が始まった

春休みが終わる頃
ユミに給食が始まったらどうすれば良いか聞かれたので
できれば半分は食べて欲しいと言った

するとユミは
「パパかママが言ってくれないと食べる自信がない」
「パパとママに食べたと嘘をついてしまうかもしれない」
「せっかく良くなってきたのに、また悪くなってしまうのが怖い」
と言って泣いた

ユミは信頼できる人に、そばにいて背中を押して欲しいのだ
しかし新学年からの新しい先生との間には
まだ信頼関係が築けていないだろう
ユミにとって給食はまだ高いハードルだ

妻に、給食の時間だけ学校に行ってそばについていてやって欲しいと頼んだ

とりあえず今はこれでうまく行っている
きちんと食べてくれているようだ

脈拍

2007年04月17日Posted in 2007年04月 by hayamataro

1日3食療法を始めてから3週間
ユミと妻が頑張ってくれているおかげで、無事続いている
しかし体重は一向に増えない

体重は毎週1回測っている
体重は本人には絶対に教えてはならない
病気の心が体重を知ると
ユミを責める材料に使うからだ
だから体重計の目盛りはユミから見えないようにする

M先生は
ユミの脈拍が少し遅くなっていると言った
ユミの体が自己防衛のために低燃費モードになっているそうだ

食事の量を少し増やしてみよう
高カロリーのメニューにしてみよう

過ち

2007年04月21日Posted in 2007年04月 by hayamataro

ユミは以前より良くしゃべるようになり
その瞳にも笑顔にも、少しずつ輝きが戻ってきている
泣くことも少なくなってきたようだ


しかし
私は過ちを犯してしまった

ユミの給食は、いつも妻が付き添っていた
妻が「全部食べようね」と何度も励ましながら食べさせていた
それでうまく行っていたのだ

ところが今日は学校側の提案もあり
妻でなく、ユミと仲の良い保健室の先生の付き添いで給食を食べさせた
ユミができると言うので許してしまった
それが大きな間違いだった

学校から帰宅後、ユミは精神的にかなり不安定になっていた
「うまく食べられなかった・・・」
「全部食べられたけど、すごく嫌な気持ちだった・・・」
と言ってひどく泣いた
もうそれ以上のことは聞けなかった

ユミの笑顔はまた消えてしまった
残念ながら治療は逆行してしまった

なぜ、全部食べられたのに、うまく食べられなかったのか
なぜ、全部食べられたのに、嫌な気持ちになるのか

やはり保健室の先生では役不足だったのだ
ユミは
たったひとりで給食を食べるという戦いに挑んだも同然だったのだろう

そしてなんとか全部食べたものの
改めて敵の強さを思い知らされたのだろう
「まだ良くなってないんだ」と

それを利用して
病気の心がまた少し勢力を拡大したのだ

焦ってはいけない

まっすぐ完全に良くなっていく方が不自然だと
C先生は言ってくれた

境界線

2007年04月22日Posted in 2007年04月 by hayamataro

給食の過ち以降
ユミは泣くことがまた多くなってきた
今日は久しぶりに家族4人で出かける予定だったが
ユミは行きたくないと泣く

それよりも灯台まで散歩に行きたいと言うのだ
帰ってきたら灯台まで連れて行くと約束して
なんとかなだめて連れ出した
なぜか今
家族4人で出かけることがどうしても必要だと感じたのだ

しかしユミは出先でも
灯台に散歩に行けるかどうかばかり気にしていた

帰宅したのはもう18時近かったが
どうしても行きたがるので仕方なく散歩に出かけた

しかし今日は運動量が多過ぎると思った私は
灯台のわずかに手前で引き返そうと言った
するとユミは
まるで何かに押しつぶされるような苦しい表情を見せた

灯台まで辿り着くと
ユミはさらに遠くへ行きたいと要求したが
「今日はもうここまでにしようね」と言うと
今度は驚くほど素直に受け入れてくれた

わずか100メートル程度の差なのに
灯台まで行くのと行かないのとでは
ユミにとっては大きな違いがあるようだ
灯台までという基準は、ユミにとって何か意味があるらしい
ユミは灯台を境界線として決めているのだ

「灯台まではユミの本当の心がお散歩したい距離
 でもそこから先は病気の心がお散歩したい距離」

ユミの散歩という行動には
本当の心の要求と病気の心の要求が同居している
しかしこの二つの心の間には明確な境界線があった

いたずら

2007年04月23日Posted in 2007年04月 by hayamataro

今日は妻の誕生日である

実は昨日のうちにプレゼントを買ってあって
こどもたちに託してある

「今日は夕食までにはパパは帰れないから
 きみたちから渡してね
 このバースデーカードも書いて一緒に渡してあげてね
 これはママには内緒だよ
 びっくりさせてあげようよ」

ユミは目を輝かせて
「オッケー!」と言ってくれた

ユミ、きみは以前は子供らしく、いたずらが大好きな子だったんだよ
思い出して

2007年04月27日Posted in 2007年04月 by hayamataro

一進一退

今日もユミのスイミング検定だった

不合格だった


ユミはまた悲観的に受け止めてしまったのだろう
そして病気の心は、ユミの自己否定感を餌にして勢力を増した

今日もユミは泣いた

一進一退の攻防戦だ

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