The Secret Language of Eating Disorders 〜あなたの大切な人が拒食症になったら

あなたの大切な人が拒食症になったら

2007年03月02日Posted in 2007年03月 by hayamataro

I先生の治療法の基盤となった本を入手することができた

 あなたの大切な人が拒食症になったら
 (Peggy Claude-Pierre著)

現在はもう廃版になっていたが
中古のものを手に入れることができた

著者のPeggyは2人の娘を持ち
その2人が立て続けに拒食症になった
Peggyはその長い闘病生活の中で得た知識を活かし
摂食障害患者のためのクリニックを創設する
この本にはPeggyが開発した治療法とともに
Peggyの娘やクニリックの患者たちのいくつもの症例が綴られている

恐ろしい内容だった

こんなことが実際にあるというのか
まるで悪魔憑きのようだ
エクソシストという現象の正体は
この病気なのではないだろうか

読むのが怖い

悪霊

2007年03月11日Posted in 2007年03月 by hayamataro

拒食症患者の心には悪霊が宿る

これは拒食症に陥ったPeggyの娘ニッキの、病的な行動のひとつである


ある朝方の四時、私がバスルームの冷たい床に座って日記を書いていると、ニッキが台所に忍び込む音がした。私が後をつけると、彼女は姿を消した。そして奇妙な音が聞こえてきた。彼女はテーブルの下にうずくまって、犬用の皿からドッグフードを食べていた。私たちは犬など飼っていないのに。
皿もドッグフードも、どこから来たのかわからなかった。彼女は四つんばいになって食べるために前かがみになりながら泣いていた。私は彼女を抱きしめて、嘆願した。「そんなこと、しないでちょうだい。そんなことする必要ないのよ。そのうちちゃんと解決しますからね」
彼女は私にしがみついて、泣き続けた。「なぜこんなことしているのか、私にもわからないの。私って最低だわ」
「どうしてあなたが最低なの?」と私は聞いた。
「おかあさんにはわからないのよ。でもそうなの」
「最低になるようなことをいつやったの?あなたはずっと良い子だったわ。素晴らしい子供だったわよ」
「わからないわ。でもいつも頭の中でそんな声がするの」

/(Peggyの本より抜粋)

悪霊は頭の中で本人を否定し続け
「おまえには生きる価値がない」
と洗脳する
そして本人の存在そのものを消滅させようとする
それが拒食症なのだ

幸い、ユミにはまだ自虐的な行動や言動は見られない
自分のことは別に嫌いではないと言う
発見が早く、まだ症状が軽いのだろうか

いずれ
ユミもこのような恐ろしい行動を取るようになってしまうのだろうか

習慣性自己否定癖(CNC)

2007年03月16日Posted in 2007年03月 by hayamataro

なぜ悪霊が宿るのか

Peggyによれば、

“習慣性自己否定癖/Confirmed Negativity Condition(CNC)”

とPeggyが名づけた、先天的な素質が原因である

どんなことでも悲観的、主観的に受け止めてしまう性癖によって
継続的な自己否定感が蓄積して肥大化し
それがコントロールできなくなって悪霊となる

Peggyは、その悪霊をネガティブ・マインドと呼んでいる

CNCとは、否定的な主観が個人を襲うことに他ならない。このひどく批判的な主観が、耳に入る全ての言葉が彼女を非難する内容であり、実際どれほど関係のないことも悪いことは何もかも彼女の責任だという解釈をさせるのだ。
例えばある両親が拒食症の息子にベビーシッターを頼んだとしよう。「買い物に行かなければならないから、トミーを一時間ほど見ていてくれる?」というように。
拒食症患者は、「大変だ。彼らは僕に内緒の相談をしようとしている。トミーの面倒を見させるふりをして、そのことを誤魔化そうとしているんだ。」と考える。CNCの被害者は、自分は役立たずだから除け者にされていると感じるだろう。そのために、誰もが自分のことを陰で悪く言っていると信じ込んでしまうのだ。
?
ネガティブ・マインドの根元は何なのだろうか? なぜ自分自身で作り上げた思考の奴隷になったりするのだろう? 私はこれには元々陥りやすい素質というものがあると思っている。CNCに陥りやすい人は、自分の周りの人々や状況が欲するものに敏感に反応する。個々の核家族というミクロの世界から、地球規模のマクロの世界まで、CNCに陥りやすい人は自分が人類に対して責任を負っていると感じてしまう。これらの子供たちは家族のことも、地球のことも同じように心配している。彼女たちは第一級のヒューマニストと言えるだろう。環境問題に心を痛め、オゾン層の心配をし、貧困、病気、鯨の苦境も全て心配の種なのだ。
?
CNCとは、世の中のことを気に病むと同時に自分を否定する心理のことを指している。このCNCが具体的に表面化していくかどうかは、ひとえにその環境にかかっている。

/(Peggyの本より抜粋)


そういえば以前、ユミは私に
「ユミたちはいつまで地球に住めるの?」
と心配そうに聞いてきたことがあった

ネガティブ・マインド

2007年03月20日Posted in 2007年03月 by hayamataro

Peggyは
CNCが生み出したネガティブ・マインドに洗脳された拒食症患者の思考を
わかりやすく説明している


CNCの被害者は、自分の家族の問題にも世界が抱える社会の痛みにも、責任を取ることができない。それなのに何とか責任を取らなければならないと思い込んでいく。そして彼女は無意識のうちに自らを首にする。そして世間からこのように期待されていると思い込んでいる役割に移っていく。それは、自身を死に追い込んでいくことだ。好きでこの道を選んだ訳ではないが、彼女はそれ以外に方法が見つけられなかったのだ。この時点では、それが当然の報いなのだと思い込んでしまっている。被害者の自己破壊がひどくなるにつれ、ネガティブ・マインドは膨れ上がっていく。
拒食症の根底にあるものを理解することによって、病気自体を理解することが出来る。こうしてかなりシンプルな内容に分析することが出来るのだ。

 食事をするとは、食べ物を体内に入れること。
 食べ物は、生きることを意味する。
 私には生きる資格などない。
 私は人間失格だから、生きていても仕方ない。
 だから私には食べ物をもらう資格がない。

/(Peggyの本より抜粋)

今ユミの中にも
このネガティブ・マインドがすくすくと育っているのだろうか

バイブル

2007年03月24日Posted in 2007年03月 by hayamataro

長い戦いになるだろう
これから長い間
Peggyの本は私にとってバイブルとなるだろう

Peggyの確立した治療法は
ユミを治すことができる唯一の方法であると信じている
その治療法を実践しているI先生に
どうしてもユミを診てもらいたい

思い切ってI先生にコンタクトを取ってみた
しかしI先生は規制上
小学生以下の子供を診療することはできないとのことだった

この病気は医者の選択を誤ると逆効果を与えられかねない
まだまだ治療法が確立されていない病気だからだ

食べないと罰を与えるなどといった療法を行っている医者もいるらしい
そんな治療法が効果があるとはどうしても思えないし
Peggyもそれは明らかに逆効果だと言っている
そんな医者にユミを任すわけには行かない

拒食症は再発する確立が極めて高いと言われるのも
適切な治療が行われていないためだろう
不治の病だと言う医者もいる
I先生は、日本にはまだ本当に頼れる医療機関は存在しないと言う

Peggyの治療法において最大の武器は
“無条件、無制限の愛情。患者がどのような行動、言動をしようとも限りなく愛する”

私はこの武器を持っている

病気の心

2007年03月25日Posted in 2007年03月 by hayamataro

ユミはまだ
自分の中のネガティブ・マインドの存在に気づいていない

ネガティブ・マインドはユミに「食べるな、痩せろ、運動しろ」とささやいてくるが
ユミはそれが自分の考えであるかのように認識している
「食べるな、食べた後はとにかく運動しろと思ってしまう」
ユミの言動がそれを物語っている


彼女と一緒になってその存在に立ち向かう力が私にあると思ってくれたのだ。彼女のネガティブ・マインドを「それ」と呼ぶことによって彼女から切り離し、私が戦えるようにした。本人と一緒になっていては勝てないかもしれない。だが、彼女から孤立させれば、破壊することが出来るかもしれないのだ。
/(Peggyの本より抜粋)

まずは悪霊=ネガティブ・マインドを孤立させるのだ
私がユミと一緒になって立ち向かえるように

絵を書いてユミにネガティブ・マインドの存在を説明した
I先生の言葉を借りて、ネガティブ・マインドを“病気の心”と呼ぼう

「ユミはね、今、病気なの
 ユミの心の中には今、本当の心と、病気の心が住んでいるんだよ
 ユミの本当の心は元気になりたい、幸せになりたいって思ってるのに、
 病気の心はそれを許そうとしない
 食べるな、痩せろ、運動しろって言ってくるんだ
 だからユミがそう思ってるんじゃなくて、病気の心がそう思わせてるの
 病気の心がきみを嫌な気持ちにさせる
 病気の心はとっても悪いやつなんだ
 パパはこいつを絶対に許さない」

ユミは激しく泣いた
恐怖心からか
それとも、存在に気づかれた悪霊が暴れたのか

1日3食療法

2007年03月26日Posted in 2007年03月 by hayamataro

何よりも、ユミの体重回復が先決である

I先生によれば
体重が戻ってくると、病気の心は自然と小さくなっていくそうだ
それで完治するわけではないが
ユミの苦しみを和らげることができる

I先生の療法のひとつである、1日3食療法を始めた

1日3食をきちんと取らせることによって体重を回復させる

また、1食の量は少なくても良いから
盛られた分は残さずに全部食べることで
「残せ」という病気の心の声に打ち勝つ

さらにメニューに関しても注文する余地を与えない
病気の心は、ユミにあっさりしたものを要求させるだろうから
それに逆らって、肉でも揚げ物でも食べさせる

病気の心の声に逆らうことが大切なのだ

ただし、菓子類などの間食は絶対に許してはいけない
とにかく何でも食べて欲しいと思うあまりに菓子類を食べさせると
刺激によって過食症に転じる可能性があるからだ

不思議と、ユミは食べているときはさほど苦しそうではないのだが
「全部食べなきゃだめ?」と何度も何度も聞く
そのたびに「全部食べようね」と声を掛ける
そうしていると、とりあえずは全部食べる

問題はその後である
本当に苦しそうに泣くのだ

病気の心がユミを罰しているのか
かわいそうで見ていられない

催眠術

2007年03月27日Posted in 2007年03月 by hayamataro

ユミは日増しに食べるのがつらくなってきているようだ

まるで食べることがストレスを生み
それが日々蓄積しているようだ
今では朝起きてから夜寝るまで
つらい、苦しいと言って一日中泣いている

苦しむ姿がかわいそうで見ていられない
ユミ自身もいつまでこの苦しみに耐えられるのだろうか
そう思うと一刻を争う事態に思えてならない

ユミの苦しみを少しでも和らげる方法はないのだろうか
催眠術でも何でもいい

恐ろしく不安な日々が続く

泣き声

2007年03月28日Posted in 2007年03月 by hayamataro

ユミ、ごめんね
本当にごめんね
全部パパが悪かった
パパが死んで、きみが助かるならそれでもいい

ユミは今日もさんざん泣いて、今やっと寝た
こんなにつらそうに泣くユミを今まで見たことがない

一体何がきみをそんなに泣かせるの?
痛み?悲しみ?恐怖?怒り?後悔?


今夜は風が強い
風の音がユミの泣き声のように聞こえる
なかなか寝付けない

うとうとしてふと目が覚めると
ベッドの横にユミが泣きながら立っている
しかしそれは幻覚だった

ユミの泣き声は私から少しずつ力を吸い取って行く

自律神経失調症

2007年03月29日Posted in 2007年03月 by hayamataro

何かが私の中でポッキリ折れてしまったような気がする

私は今までほとんどストレスなど感じたことが無かった
自分は強い人間だと思っていた
自信があった

それだけに
自分がこのようになってしまったこともショックだ

頭がぼうっとして、車の運転もままならない
常に何かに怯えている
動悸がする
体が熱くなったり、寒くなったりする
夜中に目が覚めて、朝まで眠れない

医者へ行ってみると、自律神経失調症との診断
頭がおかしくなったのではなかった
それがわかっただけでも救われた
処方してもらった薬を飲むと、少し楽になった

もう大丈夫だ
これでユミの病気の心と戦える

自我

2007年03月30日Posted in 2007年03月 by hayamataro

人間は誰もが不完全であり、様々な考えを持っている
だから誰一人として同じ人間はおらず
誰もがこの世に唯一の存在なのだ
Peggyによれば
これは子供の客観性や自我を形成するのに不可欠な考えである

昔は一人の子供の周りにたくさんの大人がいた
おじいちゃん、おばあちゃん、隣人、長屋の同居人
それで子供は自然と人間の不完全さや考えの多様性を学び
健全に自我を形成することができたのだろう

逆に私は
自分の考えを押し付け
完全たることを要求してしまっていたのではないだろうか

ただ失敗を感情的に責めていただけではないのか
失敗は誰にでもあり、失敗から学ぶことの大切さを教えなかったのではないか

ユミは客観性や自我を身に着けないまま
完全になろうとしていたのではないのか

チーム

2007年03月31日Posted in 2007年03月 by hayamataro

I先生とアシスタントのC先生が
メールによるサポートを約束してくれた
I先生とC先生への感謝は言葉では言い表せない

また先日ユミが通院しているM先生にPeggyの本を渡し
ぜひ読んで欲しいと頼んだ
ユミの父親として、彼女を救える唯一の方法だと信じていると伝えた

後日、M先生から電話があった
Peggyの本には深く共感するとのことだった
M先生も同じような内容の書籍を数冊書いていた
小児科として開業していながらも
M先生は児童心理の専門家だったのだ

加えて
いつも忍耐強い妻がいる
そしてPeggyがいる


親たちへの手紙
親愛なるご両親へ
この手紙は、個人的に答えることが出来なかった今まで受け取った何千通もの手紙への返事である。あなたには、大勢の仲間がいる。あなたのやるせなさ、真摯さは私に付きまとって離れない。あなたの勇気と威厳によって、私は時には人間には不可能だと思えるほどの意志の力を与えてもらっている。私の能力に限界があることを許して欲しい。もし可能ならば、私はその状況を耳にした患者を全て喜んで引き受けるだろう。
子供の症状はあなたのせいではないことを知って欲しい。そして彼女はあなたを無視する時期があるかもしれないことを心しなければいけない。彼女は心のどこかであなたや社会をがっかりさせたと感じていて、もっともつらい時期にはあなたを愛する気持ちの重さを担いきれないこともある。強くなって、彼女が生き延びるために必要なレッスン、客観性を行動で示してあげて欲しい。
彼女の世界を理解するには、彼女がどのような行動を取ろうとも、その意図、性格、状況を少々距離をおいて観察しなければいけない。
子供を無条件に愛してあげて欲しい。彼女の頭の中に繰り返し流れている否定的な録音テープを取り除くため、穏やかに論理的に話をする。相手が誰であれ、彼女に不親切に接することを許してはいけない。理解してくれない人を咎めずに、出来るだけ教育してあげること。知識の終点は知恵、そして知恵の終着点には謙虚さがある。
今のあなたの立場に、私は自分の子供と立ったことがある。そして今でも私は、あなたと一緒に立っている。

/(Peggyの本より抜粋)

ユミを救うためのチーム結成だ

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